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「パパだけあそびに来てるなんてズルい! ぼくも菜々ちゃんと遊びたいのに!」
「……そうね」
「あの、沙雪さん」
今にも倒れそうなほど顔色の悪い沙雪さんを支えたまま、
「ごめんなさい、私……! 沙雪さんの気持ちを、一番大切にしないといけないのに」
「いいえ。これで、いいんです」
沙雪さんは背をのばし、前を見据える。
「どちらにせよ、避けては通れないことでしたから。ちゃんと、向き合います」
「沙雪さん……」
エレベーターの扉が開く。すると、廊下にひとりの男性が立っていた。
正純さんだ。スーツのジャケットは脱いだシャツ姿で、腕はめくりあげている。
「パパ!」
駆けだした風斗くんが、正純さんの胸に飛び込む。
優し気な顔で受け止めた正純さんは、神妙な面持ちで私達を見遣った。
「沙雪……。それと、その人たちは……」
「……部屋の中にいれてもらえる? ここで話しては、近所迷惑よ。それとも……私が部屋に入っては、いけないの?」
「……っ!」
苦悩の表情で、正純さんが目を閉じたその時。
「ちがうのよ! 沙雪!」
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