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勢いよく扉が開いて、菜々さんが飛び出してきた。
裸足のまま、沙雪さんを抱きしめる。
「ごめん、ごめんね沙雪……! 私が馬鹿だった! こんな、考え無しなことをして……!」
「菜々……」
「違う、菜々さんは悪くないんだ、俺が、俺が沙雪に甘えすぎていたから、こんなことに……!」
「パパー? 菜々ちゃんも、ないてるの?」
はっとした表情で顔を上げた菜々さんが、意を決したように沙雪さんから離れ、
「入って」
ためらいを振り切るようにして、沙雪さんが上がる。
続いて正純さんと風斗くんが。私たちも会釈して、上がらせてもらった。
途端、鼻腔を掠める甘い香り。沙雪さんが「これは……」と足を止める。
テレビ前に置かれた座卓には、鮮やかな画用紙とハサミやのり。
床にころがる、金色のモール。そこには等間隔の空間をあけ、一字ずつ並んだ『HAPPY BIRTHDAY』の文字。
「あれ?」と発したのは風斗くんで、正純さんを見上げながら、
「りんごのシフォンケーキのにおいがする」
「!」
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