雪女の告白

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 悪いのは自分たちだと諭しながらその身体を支える二人に、沙雪さんは俯いたまま、けれどはっきりとした声で「きいて」といった。 「ずっと、二人に隠していたことがあるの。私……ただの、人間じゃないの」  え、と。沙雪さんに寄り添っていた二人が、困惑に停止する。  沙雪さんは涙を拭って、二人を見上げた。 「私、あやかしの……雪女の血が、混じっているの。ずっと黙っていてごめんなさい。本当のことを言ったら、気味が悪がられると思って、死ぬまで黙っていようって、思ってたの。二人が大好きだから。けれど二人に嘘をついているのが、だんだん、心苦しくなってきて。……拒絶されたくない、だけど、嘘をついていたくない。そんな風に自分がやましいことを隠し続けているから、二人もきっと、私に嘘をついて隠し事をしているだなんて考えるのよ。裏切っていたのは、自分なのに」 「沙雪……。あやかしって、雪女って……本当の話なの? 沙雪のご両親も、そんなこと一度も……」 「それは私が黙っていてって頼んでいるから。聞けば本当のことを教えてくれるし、家系図も、見たければ見せてあげられるわ」 「……沙雪も、雪女だってこと?」
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