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前世の記憶がないので嫁にはなりません
(ま、また車に乗っちゃった……)
いったい自分はどれだけ学習しないのか。助手席で流れる景色を視界の外に捉えながら、情けなさに苛まれる。
そんな私の思考をよんだようにして、
「悪いな、これが一番早くて確実な移動手段だったんだ」
(たしかに、来てくれるのがあと数秒遅ければ、私は今頃――)
回避されたその瞬間が想起され、嫌悪感にぞっと肌が粟立つ。
平々凡々、可愛げもなければ地味な私がまさか、身の危険を感じるような出来事に巻き込まれるとは思ってもいなかった。
(片原さん、"一年も待った"って言ってた)
ということは、契約を結んだ時からすでに、今日の計画を立てていたということなのだろうか。
私を"彼女に"と思うほど好いてくれている様子なんて、全然。いや、ただ私が気付かなかっただけなのかもしれない。
私はどうにも昔から、恋愛絡みの感情に疎い。
「あの、片原さんは……大丈夫なのでしょうか」
もしかしたら、私がもっと早くに対応を変えていたら、彼は考えを改めていたのかもしれない。
そんな小さな罪悪感に訊ねると、運転中の彼は「ん? ああ」と前を向いたまま、
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