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(でも、マオさんへは駄目だって言われていないし)
「謝ってすむ問題ではないのはよく理解しています! お詫びは何でお返ししたら良いでしょうか。お金でしょうか、労働でしょうか」
「ま、まってくれ茉優! そもそも俺は迷惑だなんて思っていないし、むしろとてつもなく嬉しかったんだが!?」
「へ……?」
「だって考えてもみてくれ、俺は茉優が好きだ。そんな好いている相手が、自分の運転する隣で寝てくれたんだぞ? 寝てしまうくらいに心を開いてくれたってことだし、貴重な寝顔は堪能できるし、今回に至っては"やむなし"という大義名分のもとこの腕で抱き上げることまでさせてもらえたんだ……! これのどこが迷惑だ! むしろご褒美でしかないだろう!?」
「えー……っと」
演説さながらの力説っぷりに、圧倒されてしまう。
マオははっとしたようにして、コホンとひとつ咳ばらいをすると、
「それに、寝てもいいと言ったのは俺だしな。だから茉優は謝らないでくれ。どうしても気になるというのなら、"ありがとう"とだけ言ってくれればいい」
照れたようにして頬をかくマオに、心臓がきゅんと鳴る。
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