猫又様と離れで同居です

4/32
前へ
/239ページ
次へ
 感謝に手を合わせてありがたくいただきながらも、今日中には離れの掃除も終えなきゃと使命感にかられる。  早いとこ、"お客様"から脱さなければ。 「やっぱり茉優に頼んで正解だったな」  唐突な賞賛に、発したマオを見遣る。  彼は柔らかな卵焼きを箸で半分に切りながら、 「俺達じゃ、茉優のようには解決してやれない」 (沙雪さんたちのことだ)  そんなこと、と言いかけて、飲み込んだ。  沙雪さんは"人間"である私に話せたことが、勇気に繋がったのだと言ってくれた。  それは、あやかしであるマオたちには、どんなに望もうと出来ないこと。 「……少しでも役に立てたのなら、良かったです。けど、私ひとりでは解決出来ませんでした。マオさんが、いてくれたから」 「茉優にそう言ってもらえるのは、嬉しいな。あやかしであってよかったと思ってしまうくらいに」  マオは味噌汁を嚥下して、ことりと置く。 「茉優は、夫婦になるのなら人間がいいか?」 「え……?」  問われた内容に、思わず掴んでいた鮭がほろりと皿に落ちる。  マオは「ああ、いや」と頬を掻いて、
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加