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感謝に手を合わせてありがたくいただきながらも、今日中には離れの掃除も終えなきゃと使命感にかられる。
早いとこ、"お客様"から脱さなければ。
「やっぱり茉優に頼んで正解だったな」
唐突な賞賛に、発したマオを見遣る。
彼は柔らかな卵焼きを箸で半分に切りながら、
「俺達じゃ、茉優のようには解決してやれない」
(沙雪さんたちのことだ)
そんなこと、と言いかけて、飲み込んだ。
沙雪さんは"人間"である私に話せたことが、勇気に繋がったのだと言ってくれた。
それは、あやかしであるマオたちには、どんなに望もうと出来ないこと。
「……少しでも役に立てたのなら、良かったです。けど、私ひとりでは解決出来ませんでした。マオさんが、いてくれたから」
「茉優にそう言ってもらえるのは、嬉しいな。あやかしであってよかったと思ってしまうくらいに」
マオは味噌汁を嚥下して、ことりと置く。
「茉優は、夫婦になるのなら人間がいいか?」
「え……?」
問われた内容に、思わず掴んでいた鮭がほろりと皿に落ちる。
マオは「ああ、いや」と頬を掻いて、
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