前世の記憶がないので嫁にはなりません

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「もう二度とあんな"悪さ"をしないよう、お灸を据えただけだ。具体的にはそうだな、身体や車のボディをちょいと噛まれたり、引っかかれたりってところだな。大怪我にはならないから、心配は無用だぞ」 (それって大怪我にはならなくとも、大ごとではあるんじゃ……!) 「あ! 猫ちゃん、置いて来てしまっています!」 「ん? ああ、あの猫たちはあの辺に住んでる奴らで、俺の飼い猫じゃないぞ」 「そう……なのですか?」 「ああ、"仕事"を済ませたら各々解散するはずだ」  口振りからして、彼があの場に猫たちを集めたのは間違いなさそうだ。  おまけに"仕事"まで指示できるなんて……。 (もしかして、ペットショップの店員さんとか、トレーナーさんなのかな) 「猫っていう事をきくものなのですね……」  感慨深く呟いた私に、 「そうだな、認めた相手には義理堅いところがあるぞ」  彼はいたずらっ子な視線を私に向ける。 「あの男、俺の嫁に手を出したってのに、かわいい"仕置き"ですんで幸運だったな」  まただ。彼ははっきりと私を"俺の嫁"と呼ぶ。  彼は視線を前に戻すと、
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