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タキさんには今後のことを踏まえて、見守るに徹してもらっている。
ふと、煮込む合間に包丁とまな板を洗っている私を見ながら、
「茉優様は、手際が良いですね。……奥様はお料理が苦手な方でしたので、少々新鮮な気持ちにございます」
「奥様のお食事はどうされていたんですか?」
「私や世話人がお手伝いさせていただいたり、本邸から運ばせていただく時もありました。大旦那様がここに立つことも」
「え、大旦那様が!?」
「奥様と共に、楽しそうに奮闘されておりました。夫婦なのだから当然だろうと」
「……仲がよかったんですね」
「それは、もう。人間を嫁になどと反発していた者どもを綺麗さっぱり黙らせるほど、仲睦まじいご夫婦でございました」
冷蔵庫から味噌の入る琺瑯を取り出しながら、タキさんは懐かしそうに瞳を細める。
その目にはきっと、在りし日のお二人の姿がうつっているのだろう。
私の知らない、大旦那様と奥様の姿が。
――"仲睦まじいご夫婦"。
幸せそうに微笑み合う、沙雪さんと正純さんの姿が浮かんだ。
「申し訳ございません、茉優様。年寄りの思い出話にお付き合わせてしまいまして」
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