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「茉優様。茉優様はどうにも、ご自分に自信が持てないご様子。謙虚なのは美徳でございますが、タキとしましては、もっとご自分を正当に評価頂きたく存じます。茉優様の優しさを、可憐さを、そして何より他者を慈しめる柔らかさを。茉優様がご自身のものとして愛せるよう、このタキ、せいいっぱい尽力する所存にございます」
ですから、と。タキさんは目を見張る私をしっかりと見据える。
引き締まった頬。けれどもその瞳は、慈しむそれで。
「たくさん甘えてくださいませ、茉優様。たとえ坊ちゃまのお気持ちをお受け取りになれずとも、良いのです。頼って頂くことは迷惑などではなく嬉しいことなのだと、どうか覚えていてくださいませ」
***
タキさんと二人で昼食を頂いたあと、私は再び離れの畳拭きを、タキさんは本邸の仕事に戻っていった。
なんとなく寂しさを感じてしまうのは、この邸宅がひとりで使うにはあまりに広いからだろう。
そう思いたい。
だって、遅かれ早かれ私はこの家を出ていくことになる。
誰かといる心地よさを覚えてしまったら、後々苦しむのは、自分だ。
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