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納得の心地で箱のひとつを手にしようとすると、マオは「あ、ならこっちを頼んでいいか?」と黒い布地の手提げを手渡してきた。
……軽い。
不満が顔に出ていたのか、マオは小さく噴き出すと、「ならこれも頼む」とショルダーバッグを差し出してくれる。
うん。これなら少しは役に立てるかも。
「仕事のモノもあるけれど、主に俺の私物だな」
よいせと箱を抱えあげたマオに、首を傾げる。
「……なるほど、マオさんの物置部屋を作られるのですね」
「いや? 俺もこっちに住むから、必要な荷物の移動をだな」
「…………はい?」
(いま、とんでもない幻聴が聞こえたような?)
マオはスタスタと歩を進めながら、
「家事は分担制、当番制のどっちがいい? もちろん、一緒にって選択肢も大歓迎だぞ。ただちょっと親父の仕事の関係で俺だけ抜けなきゃな時もあるだろうから、その時は都度相談させてもらうってことで……」
「ま、待ってくださいマオさん! どうしてマオさんまでこちらに!?」
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