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「どうしてって、茉優を一人になんて出来ないだろ。あ、心配するな。俺は紳士だから絶対、ぜーったいやましい事は一切しない! から! なんなら誓約書を作るか?」
「いりません。そういった心配はしていませんし、それよりも、本当に私はひとりで……」
「俺が心配なんだ」
苦笑を浮かぶるマオに、思わず息を飲み込む。
「ウチの連中は信用のおける奴らだがな、ここは"あやかし"の家だ。時には外部の奴らが出入りすることもある。まあ、元々その関係でこの離れが建てられたんだがな。加えて表向きには、盛大な屋敷でもあるだろ? 人間の侵入者だって、ないとは言い切れない。可能な限りの手は打っているが、例の不届き者がここを嗅ぎつけないとも言い切れないしな」
「…………」
「事が起きてから後悔するのは、嫌なんだ。目の届く位置で、すぐに動ける距離で、茉優の平穏を共有したい。悪いが、こればっかりは茉優の願いを聞いてはやれない」
「マオさん……」
告げる表情があまりに紳士で、届く声が、あまりに切なくて。
いま、彼の目には、果たして"どちら"が映っているのだろう、なんて。
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