猫又様と離れで同居です

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 刹那、「とまあ」とマオが笑みを作る。  私のよく知る、からりとした声。 「やましいことは誓ってしないが、正直なところ、下心はあるといったらあるんだけどな。茉優と二人、ひとつ屋根の下で生活できるんだ。なんてこの上ない幸運……じゃなくて、つまり俺にとってはアピールだってし放題ってことだろ? 茉優に俺を旦那にしてもいいかなーと思ってもらえるよう、距離を縮めるまたとないチャンスってな」 「な……っ!? マオさん、それは……っ」 「なあに、心配せずともアピールといったって、ちゃんと茉優の負担にならないよう程度は気を付ける。まずは、茉優にここで心地よく生活してもらう。それと、家政婦派遣サービスの仕事に慣れてもらう。この二つが優先事項だからな」  ということで、よろしくな。  そう言って綺麗なウインクをひとつパチリと飛ばすマオに、私は面食らうしかなくて。  マオの持ちこんだ荷物を、二階に運ぶ。  マオの部屋は私の隣だった。どうりで、ベッドマットが新しくなっているわけだ。 「いったん、小休止としよう。うまいの持ってきたぜ」
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