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ドキドキと騒ぎ立てる心臓を悟られないように、顔をフォークに寄せて口を開く。
(これは普通、これは普通……!)
唇がフォークに触れないよう、慎重にシフォンケーキだけを口先で挟んで顔を引いた。
自身のフォークで助けるようにして口内に入れると、先ほどまでの軽やかな二種と異なって、ビターなチョコレートの香りが広がる。
「ほい、こっちも」
再び当然のように差し出されたそれを、先ほどと同じように唇で食む。
フォークで口内に転がした途端、たちまち広がる、香ばしいコーヒーの味。
「すごいです、どれも感じる味……香りでしょうか。全然違くて、でもおいしくて。あ、それと、口当たりも少しずつ違いますよね? シフォンケーキってだけでどれも似た感じなんだろうなとか、勝手に想像したら駄目ですね……って、あれ? マオさん?」
片手で目元を覆い、天井を仰ぐマオ。
明らかに様子のおかしい彼に、
「だ、大丈夫ですか!? 体調不良……? は! タキさんを呼んできます! フォークは危ないので置いて……」
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