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「……マオさん、途中になっていた、朝の話なんですが」
『茉優は、夫婦になるのなら人間がいいか?』
私を嫁にと望んでくれていて、けれどそれ以上に、私の幸せを願っていくれている、優しい問い。
ここでいう"私"とは、茉優ではなく"ねね"のことだ。
わかっている。だけど。
(違うけれど同じ。同じだけれど、違う)
私は"ねね"じゃないけれど、この魂は"ねね"と同じ。
もしもマオが、私の"同じ"部分を見つめているのなら。この優しい人に、少しでも真摯でありたい。
「……ああ、あの話なんだが」
マオは軽く頬を掻いて、
「少し急いた問いだったな。茉優はまだ新しい生活に慣れてもいないってのに。また今度で……」
「マオさん、私、"夫婦"というものがよくわからないんです」
「!」
マオが息を詰める。
焦燥を浮かべる彼に、私は大丈夫だと伝わるよう笑んで。
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