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「夫婦になるのなら、"夫婦"を知らない私でも構わないと。共に"夫婦"を築いていくことを許してくれる人となら、"夫婦"になれるのかなと思いました。それと、私にとってあやかしの皆さんは助けてくださった恩人でもあるので、嫌だという感情はありません。答えになりましたでしょうか」
刹那、バチンッ! と威勢のいい音が轟いた。
マオだ。自身の頬を挟み込むようにして、両手で頬を打ったのだ。
「え!? マオさん!? なにを――っ」
「戒めだ」
「へ?」
「茉優は俺を殴ってくれないだろ?」
「なぐっ!? しません、そんなこと!」
「な? だから、自分でやる」
申し訳なかった、と。
マオは両手を机について、深く頭を下げる。
「幸せになってほしいなんて言いながら、俺は自分のことしか考えないで……! 言いづらいだろう話を、茉優に強いてしまった」
「いえ、頭を上げてください……っ! マオさんは私を気遣ってくださっただけですし、私がこんな、変に真面目に捉えすぎなければよかっただけで」
「俺は、それが嬉しい」
「……え?」
きょとんとしてしまった私に、マオは苦笑を浮かべ、
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