猫又様と離れで同居です

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「申し訳ないと思いつつも、茉優が、こうして真面目に考えてくれたことが。それを、俺に話してくれたのが嬉しいんだ。無遠慮に振舞っておきながら、茉優の苦渋の決断を"嬉しい"だなんて。性根が悪いにも程がある。だが俺は、この気持ちを変えられない。だからせめて、罰を受けるべきだ」 「そんな……っ」 (このままじゃ押し問答になるだけ)  手をぐっと握りしめ、勢いよく立ち上がる。  マオがビクリと肩を跳ね上げたけれど、気にせずその眼前に立った。 「ま、茉優……?」  意を決して、その場で膝を折る。そして私はマオの両手に触れて、痛みが引くようにと祈りながら軽く撫でた。  マオが息を呑んだ音。顔を上げるには恥ずかしさが勝って、私は撫でる手を見つめたまま、「私も、嬉しいです」と告げる。
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