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新たな依頼人とプロのペット
次の仕事も案外早く入りそうだ。
そう言っていた狸絆さんの言葉通り、あれから一週間と経たずに次の仕事を告げられた。
今回の依頼者は渋谷に住む、二十二歳の寺崎里香さん。
渋谷のスペイン坂のカフェで働いているのだという。
指定された午前九時に、私とマオは依頼者の住む木造アパートに赴いた。
二階の一番奥が、里香さんの部屋。時間になったのを腕時計で確認して、部屋の呼び鈴を押した。
ほどなくして、扉が開く。
「……アンタ達が、"そう"?」
気だるげな雰囲気を纏った、すらっと背の高い女性。
肘と太ももまでが隠れる黒いカットソーを着ていて、ウルフカットの黒髪からは、アクアブルーのインナーカラーが覗いている。
(カッコいい人)
この人が里香さんかなと思いながら、マオと共に名を告げる。
本日はお願いします、と頭を下げると、「入って」と興味なさそうに告げて、部屋に戻ってしまった。
「お、お邪魔します!」
急いで上がらせてもらうと、すぐにキッチンがあった。その後ろの扉は水場だろう。部屋の扉は開いていて、里香さんの姿が。
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