新たな依頼人とプロのペット

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 具体的な指示はもらえなかったとはいえ、仕事は仕事。  ひとまず掃除にとりかかることにして、まずはマオと二人で室内を簡単に掃除していく。  マオはゴミの収集と、埃の拭きあげ、それから、無造作に絡まるコード類の整理を。  私は部屋の端に積み上がった衣類を畳んで、玄影さんに教えてもらったプラスチック製のチェストに収納していく。  それが一区切りついたら、マオはお風呂の掃除に。  玄影さんに「いいか、茉優に絶対、指一本触れるなよ!」と凄んでお風呂場へ。  私は「すみません、気にしないでください」と謝ってから、洗い物が積み重なったシンク周りを片付けることにした。  水切りマットに置かれた皿やコップ類を戸棚に入れ、汚れた食器たちを洗っていく。  全て洗い終えたら、同じくシンクの中に放置されていた開封済みの缶類の片付け……なのだけれど。 (これ、ちょっと残っている)  缶ビールの重みを確かめるようにして振ると、ぽちゃりと水の跳ねる音。 「いつも最期まで飲み切れないんですよ。それでも飲みたいようでして」
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