150人が本棚に入れています
本棚に追加
/239ページ
「相手はわかってる。別に、コレはこのまま放っておいていい」
「い、いいんですか? もしエスカレートしたら、里香さんだって危険に……!」
「ならない」
「え?」
「あの子は錯覚しているだけ。アタシが調子に乗って、ずっと甘えて続けてしまったから。責任感が、強い子なの。だけどきっともうすぐ、アタシに興味なんてなくなる」
「里香さん……?」
里香さんはごろりとベッドにうつ伏せに倒れると、枕に顔をうずめて、手だけを振る。
「もう帰っていいよ。明日も同じ時間に来て。それと……もし、誰かにアタシのことを聞かれたら、楽しくやってるって言って。アンタたちのことは、私の友達だってことにしておいて」
半ば追い出されるようにして家を出た途端、マオが「なんだあの態度」とこめかみを揉む。
「平気か、茉優。嫌だったら明日は俺ひとりで来てもいいんだぞ」
アパートの階段を降りながら私は「あ、はい」と頷き、
「それは全然、大丈夫なんですけど……もう少し、里香さんとお話がしたかったですね」
最初のコメントを投稿しよう!