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玄影さんでは得られる情報に制限がある。
里香さんは放っておいていいと言ったけれど、溜まっていた花の量を見るにすでに長期戦になっている様子。
いくら相手を知っているといっても、里香さんが絶対に安全だという保障はないわけだし。
「穏便に解決したい……ってことなんですよね。相手が飽きるのを待つと言っても、必ず飽きてくれるともいいきれませんし……」
だからこそ、私もマオという"護衛"付きの場合のみ、こうして外出させてもらえているワケで。
路地をマオと並んで歩きながら、私は思考を巡らせる。
と、マオは「本当になあ」と呟いて、おもむろに私の手を掬い上げた。思わず息を呑む。
立ち止まってしまった私を愉し気な瞳で見下ろして、マオは私の指先を自身の顔前まで持ちあげた。
「ここに百年以上経っても飽きないどころ必死なヤツがいるってのに、楽観的だよな」
「そ、れは……っ」
刹那、マオが鋭い眼光で右方を見た。
「マオさん?」
どうしたのだろうかと視線の先を追う前に、マオが私の肩を抱き寄せて、
「俺達になんの用だ? 悪いが道には詳しくないぞ」
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