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え、と今度こそその視線の向いた先を見遣ると、路地に佇む一人の女の子。
小柄な子だ。面持ちはおそらく二十歳を超えたか超えいないかだと思うけれど、パッチリうる目な小動物を彷彿させるメイクもあって、年齢がよくわからない。
緩く波を描き、小さな角のように両サイドでくくられたピンクアッシュの髪。
手首の広がる襟付きの白いブラウスの首元には、黒いリボンが。
太もも丈の淡いピンクベージュのワンピースが、彼女のふわりとした雰囲気によく似合う。
かわいい子。それが私の第一印象だったけれど、マオからは警戒の気配が強く伝わってくる。
彼女はにこりと愛らしい笑みを浮かべると、「ちょっとお尋ねしたいんですけれどお」と鈴のような声で、
「お二人はあ、里香とどんな関係なんですかあ?」
「!?」
脳裏に、里香さんの言葉が思い起こされる。
『もし、誰かにアタシのことを聞かれたら――』
(まさか、この子が……!?)
マオは私の肩を抱いたまま、口角を吊り上げ、
「俺達か? 俺達は里香の親友だよ」
「親友? そーんなバレバレな嘘じゃ、騙されませんよお。あいり、こう見えて馬鹿ではないんでえ」
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