新たな依頼人とプロのペット

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(あいり、って名前なんだ)  マオはなおも余裕に笑って、 「なぜ嘘だと断言できるんだ? 現に俺達は今も里香の家に遊びにいってたのに。な?」 「そ、そうです! すっごく楽しかったです!」  私が同調するようにして大きく頷くと、マオは「ほらな」とあいりさんを見遣って、 「そっちこそ、里香とはどんな関係なんだよ」 「あいり? あいりは里香の、一番大好きな人だよ」 「里香は男と住んでるんだぞ? 冗談じゃないのなら、ひどい妄想だな」 「妄想じゃないし!」 「ならなんで里香は男と住んでるってんだ。二人で一つの部屋で、ベッドだって一つしかないんだぞ」 「それは……!」  声を荒げたあいりさんが、ぐっと下唇を噛む。  かと思うと、今度は打って変わって可愛らしい笑みを浮かべ、 「それはねえ、あいりに嫉妬してほしいからだよお。あいり、里香の考えていることなんて、ぜーんぶお見通しなんだから。だってあいりも、里香が一番に大好きなんだもん」 (こ、これは思っていた以上に、まずそうな"ストーカー"さんなのでは……!)  口元に手を寄せ、クスクス笑うあいりさん。  その指先は、桜色と赤いネイル。
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