女郎蜘蛛と赤い爪のおまじない

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「私、最初は里香さんが、あいりさんと離れたがっているのだと思いました。そのために、私達が呼ばれたのではないかと。けれど里香さんは、私達にこの目薬になってほしかったんですね。離れてしまったお二人を元に戻す、小さなきっかけに」 「……違う。私は、あの子と離れないとだから、元に戻るなんて――」  コトン、と。玄関から届いた小さな音に、四人が視線を向ける。  動いたのは玄影さんで、マオは静かに私の側に立っていた。  郵便受けが開けられる。取り出されたのは、六枚の白い花弁を開いた星型の花。中央は紫色の細かな花弁が。 「白い桔梗……?」  呟いた私に、マオが「いや」と応えて、 「おそらくは、クレチマスだろうな。それも、テッセンという種類の」  頷いた玄影さんが引き継ぐ。 「クレチマスの中でもテッセンという種類は、単体の花言葉を持つんです。テッセンは、"鉄線"。ツルが鉄のように強く堅いことから、日本でも古くから鉄線花と呼ばれ親しまれてきました。花言葉は"甘い束縛"、"縛り付ける"。そして、この花の美しさからちなんで、"高潔"」 「束縛、縛り付ける……!? まさかあいり、気づいて……っ」
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