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「里香さん!?」
膝を抱えるようにしてうずくまった里香さんの肩に、慌てて触れる。
――震えている。
「アタシは、蜘蛛なんだ」
「え……?」
「この身体には、女郎蜘蛛の血が流れている。好いた相手を身勝手に縛り付け、不幸に陥れる、女郎蜘蛛の血」
里香さんは自身の身体を抱きしめるようにして、
「自分は平気だと思っていたんだ。子供の頃から他人にはあまり興味がなかったし、女郎蜘蛛だったのは辿るのも面倒なくらい、何代も前の先祖だったから。だけどやっぱり、アタシは女郎蜘蛛だった。あいりが仲良くしてくれて、初めて自分よりも大切な存在が出来たと思ったら、どんどん、おかしくなっちゃって……。あいりが他の人に笑いかけるのが嫌だ。あいりが、アタシ意外の誰かに好かれるのも嫌だ。ずっとアタシだけを見てて、ずっとアタシの側にいてくれたらいいのにって」
「っ、里香さん、それは……」
「アタシは、アタシはあいりを私なんかに縛り付けたくないのに、制御できない欲求がもっともっとって溢れて来るんだよ。はじめはなんとか誤魔化して、友達でいようと思った。けど、無理だった。アタシには、この蜘蛛の糸が切れない」
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