女郎蜘蛛と赤い爪のおまじない

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「里香さんもご存じでしょうが、人間にとって、左手の薬指は特別な意味を持ちます。婚姻や特別な関係を誓う場所でもありますから。調べてみたら、左手の薬指にだけ異なる色を塗るという"おまじない"がありました。好きな相手と両想いになれる、恋のおまじないです」 「…………」 「お二人のどちらから始められたのかは分かりませんが、調べれば簡単にわかる"おまじない"です。里香さんはあいりさんを、恋人ではないと言いました。恋人ではないだけで、あいりさんを特別に想っているんですよね。だからこそ爪を染めながら、女郎蜘蛛の血に苦しんでいる。好いた相手を不幸に陥れるあやかしの血だから。里香さんは、あいりさんを幸せにしたいから」 「……あいりが、アタシのせいで不幸になるなんて、考えるだけで死にたくなる」 「でも里香さんは、女郎蜘蛛ではありませんよ」 「……は? アンタ、なに言って……」
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