女郎蜘蛛と赤い爪のおまじない

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「どっちが"蜘蛛"なんだか。まあ、茉優が喜んでいるのなら、なんでもいいけどな」 「ねえ、ちょっと」  声に、私達は揃って玄関を見遣る。  そこには里香さんと手を繋いで立つあいりさんが、剣呑な目つきで私達を睨み、 「あいり、これから里香とだーいじな話をしたいから、全員出てってくれない? で、もうここには誰も来ないで」 「……ったく、誰のおかで収まるとこに収まったと思ってんだが」  帰るか、と。  マオに促され、私も「ご利用ありがとうございました」と里香さんに会釈して、部屋を出る。  里香さんは優しい笑みを浮かべ、 「色々、ありがとう。アンタも、上手くいくといいね。逃がさなくていいほうにさ」 「ありがとうございます。頑張ってみますね」  と、私に続いて玄影さんが部屋を出た。  手には黒色のボストンバッグを持っている。 「では、これにて契約終了ということで。ご主人様、お世話になりました」  首輪を外し、恭しく一礼をする彼に、 「うん、元気でね。次はいいご主人様と会えるといいね」 「おや、ご主人様も、とてもお優しい主人でしたよ。どうか、お幸せに」
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