女郎蜘蛛と赤い爪のおまじない

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「さっきの……里香の告白を聞いた時、お前はちっとも驚いた素振りなんて見せなかった。すでに里香から聞いている線も考えたが、どうにもお前からは、いけ好かない匂いがする」 「奇遇ですね。僕もアナタが嫌いです」 「ちょっ、二人とも……!」  玄影さんは「大丈夫ですよ。僕は常識ある人間ですので」と宥めるようにして、 「生まれた時から、人間ではないものに敏感でして。あやかしであると暴いたからといって何をするでもありませんので、ご安心ください」  玄影さんは私へと視線を移して、 「茉優さんとはぜひとも交流を深めたいものですが、今回は引き下がりましょう。再び僕に会える日を、心待ちにしていてください」 「いや、清々しいほどに図々しいな。つーかもう二度と茉優の前に現れるな」 「そのお約束はしかねます」 「なんだと!?」 (駄目だこの二人、一緒にいたらいつまでも言い合いになっちゃう……!)  なんとかマオの意識を逸らそうと、私はえいやとマオさんの右腕に抱き着く。 「ま、茉優!?」 「ええと、それでは玄影さんは、またお会いできます時に。出来たらホテルなどに泊まってくださいね」
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