女郎蜘蛛と赤い爪のおまじない

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「茉優さんからそう言われてしまっては、無碍には出来ませんね。分かりました、お約束しましょう」  では、と背を向けた玄影さん。  けれど数歩を進んでから、「花言葉といえば」と振り返る。 「茉優さんはやはり、ハマユウの似合う人ですね」 「はま……?」  聞きなれない言葉に首を傾げた私の横で、マオが息を呑んだ気配がした。  見上げると、驚愕に見開いた目で玄影さんを凝視している。 「では、また近々」  優雅に会釈してみせた玄影さんは、今度こそ歩いていってしまった。  私はマオの様子がおかしいことが気になりつつも、くっと唇を引き結び、 「マオさん、私達も帰りましょうか」  笑んで見せた私に、マオは誤魔化すようにして「そうだな」と笑った。
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