新しい愛をはじめましょう

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「鎌倉紅谷のクルミッ子ってやつでな、ここ最近のイチオシなんだ。現世住みのあやかしにも人気が高くてな、なかなか幽世には数を出せないのもあって、向こうじゃ結構な高値で取引されるんだ」 「え、そんな貴重なお菓子をいただいてしまっていいんですか?」 「仕事は仕事、プライベートはプライベートだからな。これは茉優と俺のぶん」  ほい、と小皿に乗せられたのは、バターサンドのような、けれどもしっかりと厚みのある長方形の菓子。  透明な包装紙でくるまれていて、クリーム色のインクでパッケージと同じ二匹のリスが描かれている。右上には「紅谷」の文字。 「クルミっ子……あ、この中のがクルミなんですね」  ぺりぺりと包装を剥がしながら、サブレに似た薄い生地にサンドされた茶色いクリームの断面に気が付く。  所せましと詰まった、たっぷりのクルミ。と、マオも包装を剥がしながら、 「運がいいとそこのクルミがハートになっているらしいんだが、茉優のはどうだ? 俺のは……ないな」 「私のは……あ、もしかしてコレですか?」  くるりと回した反対側に、確かにハートに見えるクルミが。 「あったのか?」
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