新しい愛をはじめましょう

7/15

150人が本棚に入れています
本棚に追加
/239ページ
 明らかにほっと胸をなでおろすマオ。私はためらいに視線を落としてから、重い口を開く。 「……でも、マオさんは、出ていきたくなると思います」 「茉優?」  クルミっ子を小皿に置く。  小さなハートの断面に、これが恋の叶うおまじないだったらよかったのに、なんて。 「私は、"ねね"じゃありません」 「……茉優、なにを」 「魂は確かに、ねねさんの生まれ変わりなのかもしれません。ですが今の私は茉優です。ねねとは生活も思考も、そしておそらくは容姿だって違います。同じなのは、魂だけ。それだけなんです」  膝の上で両手を握り込め、動揺するマオの瞳を見つめる。 「マオさんだって気づいているはずです。なのに魂さえ"ねね"だったなら、他はどうでも良いのですか? マオさんの愛は、前世で交わされた約束のためだけに強要されるものなんですか? もう、いいんです。無理して私の中の"ねね"を探して、愛を捧げなくて。この身体は"ねね"ではなく、私のものです。"ねね"ではないんです。マオさんはもう……解放されて、いいんです」 (ああ、言ってしまった)
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加