150人が本棚に入れています
本棚に追加
/239ページ
前世と愛しい巡り合わせ
それぞれの席に戻った私達は、すっかり冷めてしまった紅茶を淹れなおして、緩やかなお茶の時間を再開した。
開けるだけ開けて放置されていたクルミっ子を、はくりと一口食む。
しっかりとしたキャラメルバターの食感に、クルミのザクザクとした軽い爽やかさが合わさる。
濃厚な甘さ。だけれども、上品なほろ苦さとたっぷりのクルミのおかげか、まったくくどく感じない。
なんなら、甘さが控えめのようにさえ思えてしまう。
「こんな美味しいお菓子があるんですね。とろっとした甘さの中に香ばしさもあって、ザクザク感が楽しいです。紅茶ともよく合いますね」
「だろ? 俺はこのとろっとした甘さが気に入りなんだがな。冷やして食べると、また甘さがすっきりして違う食感が味わえるぞ。残りは冷やしてみるか?」
「ぜひ、やってみてもいいですか? 冷やしたバージョンも気になります」
「よし、んじゃこっちは冷蔵庫で留守番組だな」
箱のリスを指先でコツリとつつくマオ。
私は少しだけ迷ってから、今しかないだろうと口を開く。
「"ねね"さんのことって、聞いてもいいですか」
最初のコメントを投稿しよう!