前世と愛しい巡り合わせ

4/7

150人が本棚に入れています
本棚に追加
/239ページ
 言葉に、もはや懐かしくもさえ感じるあの夢を鮮明に思い出す。  でも、だからこそ、混乱してしまう。 「マオさん、あの……ハマユウって、たしか玄影さんが……」 『茉優さんはやはり、ハマユウの似合う人ですね』  去り際に残された言葉。やはり、ということは、前々からそう考えていたということだ。  前。……まさか。 「マオさん、もしかして玄影さんも――」 「わからない。だが少なくとも俺の記憶に、奴はいない。妙に花に詳しかったからな、ただの偶然の可能性も高いだろうが……」  気を付けてくれ、茉優。  マオは眉間に皺を寄せて緊張を走らせる。 「茉優は俺と共に行動しているから、大丈夫だとは思うんだが……。どうにも引っかかってな。また近々なんて、会うあてのある奴が使う言葉だ。俺達があやかしの血筋を対象にした家政婦派遣サービスをしていると知っているわけだし、偶然を装って接触してくるかもしれない」  もし、また会ったとして、玄影さんの目的はなんなのだろう。  今度こそ飼ってくれなんて言われたとしても、丁重にお断りするしかないのだけれど……。 「とまあ、そんなところだな」
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加