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言葉に、もはや懐かしくもさえ感じるあの夢を鮮明に思い出す。
でも、だからこそ、混乱してしまう。
「マオさん、あの……ハマユウって、たしか玄影さんが……」
『茉優さんはやはり、ハマユウの似合う人ですね』
去り際に残された言葉。やはり、ということは、前々からそう考えていたということだ。
前。……まさか。
「マオさん、もしかして玄影さんも――」
「わからない。だが少なくとも俺の記憶に、奴はいない。妙に花に詳しかったからな、ただの偶然の可能性も高いだろうが……」
気を付けてくれ、茉優。
マオは眉間に皺を寄せて緊張を走らせる。
「茉優は俺と共に行動しているから、大丈夫だとは思うんだが……。どうにも引っかかってな。また近々なんて、会うあてのある奴が使う言葉だ。俺達があやかしの血筋を対象にした家政婦派遣サービスをしていると知っているわけだし、偶然を装って接触してくるかもしれない」
もし、また会ったとして、玄影さんの目的はなんなのだろう。
今度こそ飼ってくれなんて言われたとしても、丁重にお断りするしかないのだけれど……。
「とまあ、そんなところだな」
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