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マオはからりと笑って緊張を断ち切ると、
「俺の出自と容姿が影響して、村の者たちからの反対もあったりしたが、最終的には祝福され夫婦になったんだ。で、子供は三人。女、男、女の順だったかな。苦労しながらも支え合って、俺よりも先に"ねね"が亡くなった。歳は忘れちまったが、孫まで抱けるほどの大往生だったぞ」
「……ねねさん、幸せだったんですね」
「……ああ。だから"契り"を結んだんだ。必ずまた、夫婦になろうと」
小指を立ててみせるマオに、私は納得の心地で自身の小指を見遣る。
夢の中で出会ったマオは、今の姿だった。
マオも夢の中で見た私はこの姿だったと言っていたから、あの夢はあくまで"私達"が前世の記憶をたよりに、繰り返していたに過ぎないのだろう。
(前世の"マオ"も、見てみたかったな)
叶うことはないと分かっているけれど、"ねね"も――二人の、夫婦としての姿を。
「やっと長年の疑問が解けました。ありがとうございました、マオさん」
「いいや。茉優が望むのなら、いつでも話してやれるからな。……時に、俺からもひとつ聞きたいことがあるんだが」
「はい」
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