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「目くらましの結界を張っているとはいえ、外との繋がりを完全に絶たせているわけでない以上、ここが伝わるのも時間の問題だろう。その上で、仕掛けてくるかはわらないがな」
「わかった。目を離さないでおく。……面倒なのが増えちまったしな」
「冴羽玄影、か」
男の眉が不快に跳ねた。
俺は気付かないふりをして、
「大旦那様の命だからな、調べはするが……。人間か?」
「そのはずだ。アイツから妖気は感じなかったからな。だが……あやかしを、知っている」
「生まれつき"気づきやすい"人間もいるだろう」
「……そうだな」
巡らせるその思考には、いくつもの懸念が渦巻いているのだろう。
俺はそれを告げられた時に考慮してやればいい。それが、俺とコイツの線引き。
俺はわざとため息をつき、
「それにしても、あの人間はどうやら厄介者を引き寄せる才があるようだな。まったく、仕事を増やしてくれる」
「茉優のせいじゃない」
非難する強い口調。俺ははっと笑い飛ばし、
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