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「俺からすれば結果は同じだ。この調子だと、いずれもっと大きな厄介事を引きこんでくるのが目に見える。本人だけは何も知らず大事に守られ、呑気に夢の中か。お気楽なものだな」
「朱角」
低い、咎める声に言葉を切る。
俺を見据えるのは赤い瞳。うっすらと光を帯びているのは、興奮しているからだ。
腹を立てているのだろう。
(本当に、あの人間を愛しているんだな)
だからこそ。
俺はその目を、侮蔑を込めて見返す。
「大切だとのたまうくせに、よくもまあこんなにも非道な真似が出来るな。あやかしと人間の婚姻がどれほどの苦悩を伴うか、お前だって忘れたわけではないだろう」
揶揄したのはかつてここの主だった、大旦那様の奥方様。
あやかしの存在が希薄になってしまった現代において、その存在を認知し受けいれる人間というのは、それだけで希少価値が高い。
つまるところ、狙われやすくなるのだ。
特に女は。
だからこの離れが作られた。
元々病気がちだったこともあり、少しでも静かで穏やかな日々を一緒に過ごすためにと大旦那様は言っていた。
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