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ぴしゃりと名を呼んで見せるタキさんと、引く気はないと凄んでみせるマオの睨み合い。
二人からすれば、よくあることなのだろうか。とはいえ今は、"大旦那様"を待たせているはず。
「あ、あの……マオさん」
うっかり雷光がみえるせめぎ合いが、私の情けない声にふと緩む。
私はマオを見上げながら、
「お着替え、行ってらしてください。私でしたら、大丈夫ですから」
「いいや、俺が茉優を置いて行きたくないんだ。屋敷に連れ込まれたってだけでも不安だろうってのに、これ以上の負担はかけたくない。……そうだ。茉優も一緒に俺の部屋に来たらいいんじゃないか? それがいい! すぐに気付けないなんて、思ってた以上に俺も緊張しているみたいだな。さ、行くか茉優」
「へ!? ちょっと、マオさん待ってくだ――」
「なりません」
手を引かれた私とマオの間に立ち、タキさんがぴしゃりと言い放つ。
「大旦那様のご許可を得るまでは、茉優様は"外の者"にございます。私的な部屋に入れるなど、言語道断。坊ちゃまもご存じでしょう」
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