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「茉優については俺が全ての責任を持つ。決まりごとに囚われていてはいけないと教えてくれたのも、親父だろ」
「マオさん」
このままでは堂々巡りになってしまう。
私はちょいちょいとマオの袖口を引いて、意識を向けてもらってから、口を開く。
「私も、お着替えをされたマオさんを見てみたいです」
「……そ、そうか?」
「はい。それに、マオさんのお父様に初対面から悪い印象を持たれるのはちょっと……。あんな礼儀知らずはやめておけって、今後一切会えなくなってしまうかもしれませんよ?」
(うう、言っててはずかしい……!)
こんな、まるで私を好いてくれてるのを前提に手玉にとっているような言い回し、自分に自信のある女性の特権だと思っていたのに。
(でも、この場をおさめるにはこれしか思い浮かばないし……!)
どうしよう。出会ってまだ数時間なのに、嫁になる気もないくせにつけ上げるなって思われないかな。
タキさんにだって、愛らしくもなければ美しくもないくせに、勘違いもいいところだって呆れらたり……。
刹那、「あ~~~~」と間延びした声。マオのものだ。
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