151人が本棚に入れています
本棚に追加
ドキリと心臓が強く跳ねたのは、確かによく似合っているというのもあるけれど、それよりも。
その姿が、夢の中で見た彼と同じだったから。
(本当に、あの夢で"繋がった"のは、マオだったんだ……)
マオはつかつかと私の隣まで歩を進めてくると、右肩をぐいと引いて私を引き寄せる。
「マ、マオさん!?」
(顔が、胸元が、近い……っ!!)
「良い毛並みを撫でたいってなら、あんなタヌキ親父じゃなくて俺にしてくれ」
「へ!?」
(だから、近いんですって……!)
間近で懇願するように眉を八の字にされると、きらきらオーラ―で圧倒されてしまう。
二十五年間生きて来て、面食いなつもりはなかったけれど……。いや、たぶん、マオがあまりに規格外なのだろう。
マオはあわあわと固まるだけの私ににこりと笑むと、今度は鋭い目つきで狸になった狸絆さんを睨む。
「俺が言う前にあやかしだって伝えちまうなんて。もっと距離を縮めてから告げようと思ってたのに、台無しじゃないか」
「おや、大事なことは先に伝えるべきじゃないかい? それも、夫婦として今後を共にすると誓った仲ならば余計に」
最初のコメントを投稿しよう!