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あやかしの血族向け家政婦業はじめます
「騒々しくて申し訳ないね、茉優さん。仕切り直しといこうか」
人の姿に戻った狸絆さんが、タキさんに用意してもらった緑茶をひとつすすりながら笑む。
私の隣には、同じく人の姿に戻ったマオ。
タキさんはこの家で一番の年長者で、狸絆さんの乳母だったらしい。
なので未だに二人揃って、頭が上がらないのだという。
やっとのことで話し合いの場を整えた私達は、マオに任せる形で、これまでの経緯を話した。
私には前世の記憶がないこと、それでも夢で繋がったこと。
仕事で危なかったところを助けられて、そのお礼も兼ねて、事情を説明に来たこと。
「待望の"嫁"だともてなして頂いたにも関わらず、ご期待に添えず、申し訳ありません。私にとっては、なにもかもが急な話でして……。マオさんと、婚姻を結ぶつもりはありません」
「……前世の記憶がないのだから、仕方のないことだろうね。マオは、受け入れたのかい?」
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