あやかしの血族向け家政婦業はじめます

1/19
前へ
/239ページ
次へ

あやかしの血族向け家政婦業はじめます

「騒々しくて申し訳ないね、茉優さん。仕切り直しといこうか」  人の姿に戻った狸絆さんが、タキさんに用意してもらった緑茶をひとつすすりながら笑む。  私の隣には、同じく人の姿に戻ったマオ。  タキさんはこの家で一番の年長者で、狸絆さんの乳母だったらしい。  なので未だに二人揃って、頭が上がらないのだという。  やっとのことで話し合いの場を整えた私達は、マオに任せる形で、これまでの経緯を話した。  私には前世の記憶がないこと、それでも夢で繋がったこと。  仕事で危なかったところを助けられて、そのお礼も兼ねて、事情を説明に来たこと。 「待望の"嫁"だともてなして頂いたにも関わらず、ご期待に添えず、申し訳ありません。私にとっては、なにもかもが急な話でして……。マオさんと、婚姻を結ぶつもりはありません」 「……前世の記憶がないのだから、仕方のないことだろうね。マオは、受け入れたのかい?」
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加