あやかしの血族向け家政婦業はじめます

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「受け入れるもなにも、事実は変えようがないだろ。それに、会えただけでも御の字だ。これからじっくり俺を知ってもらって、俺は今の茉優を知って。茉優が俺に惚れてくれてから、もう一度求婚すればいい。だったのに……親父のせいで、何段もすっとばしちまった」 「ふむ。けれどやはり、私達の素性については最初にお伝えしておくべきだと思うけれどね。種族が違うというのは、共に生きるにはあまりに重大な懸念事項だろう」 「それは……そう、だな。すまなかった、茉優。騙そうとしたわけではないんだ。ただその……あやかしだなんて言ったら、俺を知ってもらう時間さえもらえずに拒絶されるんじゃないかって……。それ自体が、俺の独りよがりだったな」  それこそ猫耳があったのならしょぼんと垂れているだろう表情に、私は苦笑して首を振る。  マオさんは表情豊かだし、感情に、素直だ。 「騙されたなんて思っていませんから、謝らないでください。"普通"と違うことを伝るのに慎重になる気持ちは、私も、分かるつもりです」  ここまで真摯に扱ってくれるのだから、私も誠意を尽くすべきだろう。  折り畳んだ膝上に乗せた両手に、ぐっと力を込め、
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