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「私は、七歳の時に両親を事故で亡くしました。それからは祖母が育ててくれたのですが、その祖母も、十年前に。祖父は私が生まれる前に亡くなっていましたし、父方の祖父母はいないと言われていたので、今の私には、家族と呼べる人はいません。なので皆さまがあやかしだということは、誰にも話しませんので、ご安心ください」
「……そうだったのか。だから家族は大切にしたほうがいいって、一緒に来てくれたんだな」
そっと、私の掌にマオの手が重なる。
「俺達のことは、誰に話してもいいし、話さなくてもいい。……こうして出会えるまで茉優を支えてくれた人たちに、感謝しないとだな。茉優も、頑張ってくれて、ありがとう」
「っ、いえ」
私に両親が、家族がいないと聞いた人たちは、「可愛そうに」「大変だったでしょう」と憐んだ眼差しを向けてきたものだけれど。
マオは、マオだけが。皆に感謝をしなきゃって。頑張ってくれてありがとう、って。
私の家族を慈しんでくれた。
私を、"可哀想な子"にしないでくれた。
「茉優が嫌じゃなければ、墓を参らせてくれないか? すぐにではなくていいから」
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