あやかしの血族向け家政婦業はじめます

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「年の功、というには長く生き過ぎているけれど、まあ、どの時代も似た手口を思いつくものだねえ」  狸絆さんは皮肉げに目尻を吊り上げ、 「やり口からして相当ねちっこい男のようだったからね。行けば今度こそ、その身が危ないだろうね。かといってこのまま放っておけば、茉優さんは責任を取らされるだろうし、あの男だって、行動をエスカレートさせてくる可能性が高いだろう? 会社への嫌がらせに、自宅付近での待ち伏せ。どころか一方的に想いと憎悪を募らせて、刃傷沙汰なんてのも否定できないねえ」 「……っ」  恐怖にひゅっ、と喉を鳴らした私に、マオが慌てて「茉優、ゆっくり息を吸うんだ」と背を支えてくれる。  それから「親父!」と鋭い目つきを狸絆さんに向け、 「茉優を怖がらせるんじゃねえ!」 「私だって、なにも好きで怖がらせているわけではないさ。大なり小なり、このまま茉優さんが傷つけられる様を黙って見過ごせないって話だよ。だから、ね」  狸絆さんがコツリと指先で机上を鳴らす。
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