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赤い頭がぺこりと揺れる。
表情は先ほどから引き締まったまま、一度も変わらない。
「大旦那様のサポートをさせていただいております、朱角と申します。以後、お見知りおきを」
「あ……白菊茉優です。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
頭を下げた私に彼は軽く会釈すると、「こちらを」と束ねた用紙を差し出した。
目礼して受け取ったそれに、視線を落とす。
「……あやかしの血族向け、家政婦派遣サービス?」
幼児向けアニメのタイトルさながらのポップな書体で書かれた文字と、二重丸やら、格子状の四角くやら、音符のような記号が並んでいる。
すると、ひょいと隣からマオが用紙を覗き込んできて、
「出たな……朱角の脱力系企画書。今度はいったいどんな暗号を描いたんだ?」
とたん、朱角さんはピクリと片眉を跳ね上げ。
「ぬかせ、自分の読解力のなさを俺の技量力に転嫁するな。どうみても目玉焼き、洗濯かご、おたまだろうが」
(記号じゃなかったんだ!?)
どうやら朱角さんは、マオ相手には砕けた口調になるらしい。
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