あやかしの血族向け家政婦業はじめます

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「労働に見合った対価を与えるのは、雇用者としての基本だからね。それにね、なにも大盤振る舞いをしているわけではないよ。雇用主があやかしであることを理解し、血が薄まっているとはいえ、あやかしの血族の家に入り仕事をする。本来ならば、この条件を満たせる"人間"を探すこと自体が難しいからね。おまけに誠実さと信頼性が重要視されるなかで、茉優さんは申し分ない素質を持っている。正直に言って、またとないほど貴重な人材なんだ」  だからね、と。狸絆さんは居住まいを正し、 「なにぶん、私も初めての分野なものでね。仕事内容については、都度相談しながら調整していきたいと思っている。この条件で、のんではくれないかな?」 「……本当に、いいのでしょうか」  ただでさえ迷惑をかけているというのに、こんな、どう見ても私に利の多い条件で。  戸惑いに視線を落とすと、隣から「俺も親父の提示条件は妥当だと思うぞ」と冷静な声。マオだ。  そういうものかと訊ねるようにして横目で見上げると、
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