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警戒心が強いくせに、純粋さと正義感が勝って知らない家にも上がってしまうし。
どう考えてもいきなり嫁になれというほうが無茶だろうに、断る自分が悪いかのように申し訳なさそうにしているし。
俺の口説き文句も受け流してしまうくせに、あんなにも、"会いに行く"という言葉に頬を和らげてしまうし。
「他のヤツに取られる前に見つけられたのも、運命ってやつだよな。あーー絶対、絶対衝動に負けるなよ俺……! "うっかり"で茉優に怯えられて嫌われでもしたら、俺は、俺は……!」
「わめくな。さっさと囲い込んで篭絡すれば良いだろう。相手は"ただ"の、人間の女なのだから。やつらの好むモノはなんでも揃っている」
「朱角。茉優を侮蔑するのは許さないからな。お前の私情を持ち込むな」
「ふん、客観的事実を述べたまでだ。お前こそ"私情"に目を曇らせて、大旦那様の足を引っ張ってみろ。それこそ俺はお前を許さん」
「そうだねえ。茉優さん、うちの嫁になってくれるといいよねえ」
のらりくらりと茶をすする親父に、ここに一人反対しているヤツがいるぞと正そうとした刹那、
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