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「あやかしであったからこそ、彼女と再会できたのかもしれないよ。少なくとも、今回の件に関しては、マオがあやかしだったからこそ守れたのだからね」
「……だな」
マオ、と。親父は慈しむような顔で言う。
「上手くやりなさい。彼女が欲しいのは事実だけれど、それ以上に、私たちはお前の幸せを願っているのだから」
さて、この狸の本意は、いったいどこに向いているのだろうか。
茉優に? 俺に? いや、考える必要もないだろう。
あやかしとは、強欲なものだから。
「恩に着るよ、親父」
告げた俺は確認するまでもなく、あやかしの顔でわらっていただろう。
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