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猫又様は幸せにしたい
(大変なことになってしまった)
歓迎会と称された夕食の席。
座するのは大旦那様とマオと私だけで、タキさんや朱角さんを初めとするお手伝いの方が、入れ代わり立ち代わりで給仕をしてくれている。
色鮮やかな鎌倉野菜たっぷりのお料理と、見るからに上等そうなお酒。
私はアルコールを受け付けないので、美味しい食事を堪能させて頂いているのだけれど……。
(あまりにお嬢様な扱いすぎて、落ち着かない……っ)
あの後。タキさんに部屋へと案内された私は、勧められるままにお風呂をいただいたのだけれど。
広いだろうと予想していたお屋敷は想像以上で、なんとガラス張りの渡り廊下を進んだ先に湯殿があった。
お風呂場じゃない。湯殿、だ。
竹林を背にした庭園を望みながら、足を伸ばしてもあり余るほどの露天風呂と、檜の香りが爽やかな内風呂が備わっていた。
おまけに定期的に通っているという湯番さんの妖力で、お湯には疲労回復、血行促進、美肌効果など、温泉の効能に近い作用があるという。
タキさんはこの家に住み込みで働くあやかしも、同じお風呂を使っていると言っていたけれど。
足の伸ばせない浴槽に慣れしたんだ私には、やっぱり、とてつもない贅沢に感じてしまう。
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