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なんだかポカンとしている間に、二人の間で話がついてしまった。
「行こうか、茉優」
マオに手を引かれ、私ははっとタキさんを振り返る。
「ありがとうございました」
浴衣を着たのは、それこそ随分と昔に、おばあちゃんに着せてもらった以来で。
微笑んでくれたタキさんに、おばあちゃんの顔が重なって見えた。
懐かしい胸のあたたかさを噛みしめていたのも、つかの間。
(って、マオさん、手……!)
いや、これはエスコートをしてくれているだけのそれだと、理解してはいるのだけれど。
「あ、あの、マオさん」
「ん?」
振り向く顔は歓喜に見溢れていて、私はうっと言葉を飲み込む。
「あ……と、浴衣! その、こんなに素敵なモノ、貸していただいてしまって、すみません」
「なんで謝るんだ? 俺が好き勝手に選んじまったモノだってのに、着てくれてありがとうな茉優。にしても"貸す"って、それは茉優のモンだってタキから聞かなかったか?」
「いえ、タキさんからも教えて頂いたのですが、その……。私が受け取るには、申し訳なくて」
「なぜだ?」
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