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決意に手を握り返すと、なぜか片原さんはポカンとあっけにとられたような顔。
あれ? と首を傾げると、
「ああー……なるほどね。いや、そんな茉優ちゃんもカワイイんだけどね。そうじゃなくさ」
ぐいと手を引かれる。
よろけた私を抱き寄せて、強い指先が私の顎先を掴んだ。
「俺の彼女になってよってコト」
「…………はい?」
「茉優ちゃん、彼氏いないっしょ? これまでいたこともないんだっけ。ならさ、ここらで一回経験的に付き合ってみるのもアリじゃん? 付き合ってるうちにさ、ホントに好きになってくるかもだし」
「あの、片原さん、冗談は……」
「ガチに決まってんじゃん。ねえ、いいでしょ? ちゃーんとがっつかないで、一年も待ったんだし。俺、けっこうマメだし優しいよ? まあ……"肉食"ってヤツではあるけど」
「!」
背にあったはずの掌が、するりと腰から下に撫で降りていく。
(っ、やだ)
ぞわりとした感覚は嫌悪のそれ。
「は、放して……っ」
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