猫又様は幸せにしたい

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(あたたかい場所)  こんなにも賑やかで、楽しい夕食はいつぶりだろう。  会社の飲み会に参加したことは何度もあるけれど、こんなにも居心地の良さを感じたことは一度だってなかった。 (けれど……勘違いしちゃ、だめ)  浴衣に視線を落とす。マオが、私の……というより、前世の"ねね"を想って買いためていたもの。  皆が優しいのは、私がマオの探していた"ねね"の生まれ変わりだから。  けして、"私"が求められているわけじゃない。  生活を共にすれば、すぐに"違う存在"だと気が付いて、追い出されるだろう。 (それまでに、少しでも役に立たなきゃ)  無力な右手をくっと握りしめたその時、部屋から誰かが出てきた。  朱角さんだ。左手に乗せたお盆の上に皿を数枚重ね、右手には酒瓶を持っている。 「朱角さん、私もお運びします……っ」  早足で側により、どちらを渡されてもいいよう両手を差し出す。  けれど朱角さんは即座に、 「結構です。手伝いは不要だと、先ほどもお伝えしたはずですが」 「ですが……こんなに良くしていただいて、ほんの一度運ぶくらい――」
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